家族・友人と工夫する
関節リウマチ生活

第6回 外出編

監修:慶應義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科 
講師 金子 祐子 先生

体を冷やさない、関節に負担をかけない服装で

冷えは関節の痛みを増強させることがあります。自宅とは違って温度管理が自由にできない外出時には、冬だけでなく夏にも、一年を通して冷えへの対策が大切です。また関節に負担をかけない動きやすい服装や足の状態に合った履きなれた靴、さらに冷えを防ぐ持ち物を持参して、外出時の快適さを保ちましょう。楽しいはずのお出かけが、精神的な負担になってしまわないように、患者さん本人はもちろん、周りの方の気遣いが重要になります。

冷えによる症状悪化を防ぎましょう

冷えをきっかけにリウマチが悪化する場合がよくあります。関節はなるべく冷やさないように心掛け、雨に濡れたり、寒いところで長時間過ごしたりしないようにしましょう。基本的には服装や持ち物の工夫で対応して、少し冷えてしまったと感じた場合は、帰宅後にお風呂で温まったり、足湯や手や指を湯につけるのも効果的です(部分浴の方法はこちらから)。

夏は冷房と汗による冷えに注意を

デパートやショッピングモールは、予想以上に冷房が効いていることがよくあります。特に長時間座りっぱなしの映画館や電車の中では、体の芯から冷え切ってしまうこともあります。冷房が強い席を避けるなど、周りの方の気遣いも大切です。
また、汗をかいた後に冷房の風にあたると冷えがひどくなります。通気性のよい素材を選ぶことで、汗で服が湿っぽくならないようにしたり、カーディガンやストール、ひざ掛けなどを持ち歩き、こまめな脱ぎ着で調節できるようにしましょう。長ズボンや靴下を履くこともおすすめです。突然の夕立に濡れないように、折り畳み傘もお忘れなく。

冬は暖かさだけでなく軽さにもこだわって

外気が冷たい冬の外出時には、手袋やマフラー、帽子などでしっかりと防寒をしましょう。少し冷えたと感じた場合は、使い捨てカイロで関節を温めるだけで痛みがやわらぐこともあります。また、厚着のまま暖房にあたっていると、いつのまにか汗をかいて逆に冷えてしまうこともあります。コートやカーディガンなどをこまめに脱ぎ着して、調節しましょう。
冬の服は、保温性が高く軽い素材がおすすめです。保温のためとはいえ、ずっしりと重い素材では関節への負担が大きくなってしまいます。温度調節がしやすく、ゆったりとした動きやすい服装にするとよいでしょう。

お出かけにはキャリーバッグが便利です

購入予定がなくても、外出時についついお買い物をしてしまうことがありませんか。それは、外出で気持ちが明るくなっている証拠かもしれません。ちょっとしたお買い物でも、荷物が増えると関節への負担が気になります。あらかじめキャリーバッグを持参していると、荷物の重さも気にならず、帰路の負担が軽減されて便利です。
ご家族やご友人など、健康な方にはなんでもない荷物の重さも、患者さんには大変な負担になることがあります。重そうな荷物に気づいた時には、なるべく代わって持ってあげると、患者さんが気楽にお出かけできるようになります。

感染症に気をつけましょう

リウマチを治療中の患者さんでは、体の免疫力が低下している場合が多く、感染症にかかるリスクが高くなっています。ちょっとした風邪が重症化したり、風邪をひくことで炎症を起こす物質が作られて関節リウマチが悪化してしまうこともあります。外出時は予防をしっかりとして、感染症への対策を心掛けましょう。
同様に、ご家族やご友人のみなさんも感染症にかからないように注意しましょう。そして、患者さんに咳や鼻水、熱っぽさなどの症状がでていたら、早めに休めるように協力してあげてください。

外出時にはマスクの持参を忘れずに

混雑した電車の中や、人が集まるイベント会場などでは、感染予防にマスクをつけましょう。また劇場や映画館などでは空気が乾燥していることも多いので、マスクをすることによって喉の乾燥を防ぐ効果もあります。

予防の基本は、うがい・手洗い

風邪やインフルエンザが流行している時期はもちろん、ふだんからうがい・手洗いを習慣づけましょう。さらに、早寝早起きや、規則正しい生活なども大切です。

お出かけを楽しんで心も体も心地よく

症状が安定している時期は、積極的に外出することが、気持ちはもちろん体にもよい影響を及ぼします。季節を肌で感じることや、ご友人との交流などが心豊かな時間をつくりだし、外出で体を動かすことがリハビリにもつながります。

外出は、いちばん楽しいリハビリです

家の中だけでは運動量や関節の可動域が限られますが、外出時には体を動かす時間が増え、関節もふだんと違う動き方になります。リウマチ患者さんにとって大切な、筋力の維持や関節の可動域維持などのリハビリを、外へお出かけすることで自然に行うことができるのです。

心豊かな時間を増やしましょう

関節リウマチは、患者さんの精神的なストレスによって症状が左右される病気です。だからこそ、心のケアがとても大切になります。外出することは気分転換になり、ストレスを発散する機会にもなります。また、泣いたり笑ったり豊かな感情を持つことが、症状を悪化させるサイトカインなどの物質を減らすという研究結果もあります。
親しいご友人たちとのおしゃべりや、観劇や映画鑑賞、落語やお笑いライブなど、外出による適度な刺激で心を動かすことが、症状を悪化させないコツのひとつです。ご家族やご友人のみなさんも、患者さんの症状を見極めながら、楽しいお出かけに誘ってください。

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